その4
5月5日

朝の田沢湖高原はまだ少し霧が残っていた。実は今朝も一番風呂を目指すつもりだったが、東北三大桜の第三弾の「北上展勝地」をどうしても見たくなり、急遽朝一番で北上を目指すこととした。北上までは130キロ、約2時間の行程。

田沢湖を出たときは曇りだったが、国道46号の仙岩トンネルを過ぎた頃から明るくなったと思ったらあっという間に快晴!「雪国」では無いがトンネルと抜けると天気はまったく変わってしまうということか。「北上展勝地」には9時半に到着。さすがにGWでもこの時間の無料駐車場はガラガラ。

桜の状態はまさに散り始め。満開の桜がちょっと風が吹くと桜吹雪になる。つつじのクモの巣に花びらがまるで咲いているように張り付いているのがおかしい。桜は北上川の土手道の左右に咲いているので、桜吹雪のトンネルを歩く形となる。駐車場から観光船乗り場までの約2kmを歩いてみた。一部葉が出ているものもあるが、大半は真っ盛りの状態。途中にある「一山園」のしだれ桜は濃いピンク色だが、桜は弘前、角館よりは白がかっている。やはり桜は白が良い。

観光船の乗り場に向かう途中で猿回しをやっていた。家内は夢中で見ていてなかなか乗り場にたどり着けず。

観光船は桜まつりのシーズンだけ運行するもので、本日の午前中で終わりとのこと!早く来て大正解。待つこと20分で乗船できた。船は桜が咲いている土手の端から端まで往復する。桜だけでなく途中300匹の鯉のぼりが川を跨いで泳いでいる箇所もあり、結構楽しめた。鯉のぼりの中に「うなぎのぼり」?やら「なまずのぼり」もあった。船頭さんに言われなければ分からなかったが。 

桜見物を終えて屋台村へ。いろんな食べ物があったが、家内は、最初に「焼き牡蠣」を。わたしは向かいの店で「焼きホタテ」。続いて「黒ゴマもち」、ソフトクリーム。仕上げは駐車場の傍にあった「北上コロッケ」。コロッケ以外は予想できた味だったが、コロッケは食べた瞬間なにか違和感あり。普通はマッシュポテトのサクサク感があるのだが、ここのは妙にもちもち感がある。なにか山芋を練りこんだような食感。二人とも???の印象。後で調べてみたらポテトでなくてサトイモをベースにしているとのこと。それならと納得。ま、一度食べればいいかというところ。


日陰は涼しいのだが、陽なたはとにかく暑い。気温は27度くらいあるらしい。今朝は7~8度だったから、この温度差には戸惑うばかり。二人とも衣類は春、冬ものしか持参してこなかったので、たまらず急遽ジャスコでTシャツ、ポロシャツを購入する羽目になった。

今夜の泊まりは、石巻に近い温泉付の道の駅を「上品の郷」。約2時間のドライブで午後4時丁度到着。すこし休憩してから温泉「ふたごの湯」へ向かう。料金は休日扱いで¥700(平日¥500)。風呂は内風呂と露天の2つ。問題は湯の温度。最初に内風呂に入ったときにちょっと熱めかなと感じ、露天のほうへ移動。最初のうちはちょい熱めと感じつつのんびりしていたら、底のほうから急に熱湯が出てきた。こりゃまだ内風呂のほうがましかと思い再度移動。

こちらもしばらくは良いのだが、またしても急に熱湯が注ぎ込まれる感じ。どうやら人数に応じた微妙な湯の温度を調整することができていないようだ。結局、早々にリタイア。首も背中も腕も痛みが急増した感じ。汗を流すだけにしておけばよかったと反省しきり。

5月6日

「上品の郷」の風呂は温度が高すぎて再度チャレンジする気にならず、
早々と「サンファンパーク」へ向かう。
ここには支倉常長の乗った復元船が展示されている。開館の1時間も前に到着してしまった。サンファンパークはその名のとおり公園になっていて、その一部に前記の復元船が展示されている。復元船のみ入館料として¥700が必要。

サンファンバウテイスタ館の展示物は膨大なもの。航海記および復元船建造過程の資料はなかなか詳しくて、船好きの私も大いに楽しめた。復元船とあなどってはいけない。一応「国籍証書」、「検査証書」を持っている。ただし検査証書上は「陸と桟橋でつなげて固定すること。」「船底のバラストの移動不可」が条件となっているので、帆走は出来ないが。
展示品を見る前に、サンファンバウテイスタ号のメキシコへの航海の様子をシュミレーションで体験させてくれた。デイズニーランドにあるような椅子がシーンに合わせて揺れるやつ。これがあまり工夫が無くてやたらガクガク動くだけ。しかもその動きが結構荒っぽい。首を痛めているのをうっかり失念していたので、いきなりガクツ!となったときにしこたま首にショックを与えてしまった。

スペイン人の指導によるとは言え、1600年当時の日本の船舶建造技術はかなりのものであることをうかがわせるものがあった。それにしても総トン数374トンでよく太平洋を横断できたものだとその事実に圧倒された。

こちらに2時間ほど滞在してから、昼食のため家内のリクエストに応え松島へ移動。やはり狙いは海鮮なので、パーキングした直ぐそばにある食堂に入った。誠子マミーは定食、といっても牡蠣、サザエ、ホタテの焼き物、刺身の盛り合わせ、うなぎの蒲焼等々、この店の料理が全部盆の上に乗っているという豪華版。私は無難にアナゴ丼。見かけより旨かったとの誠子マミーのコメント。私の感想?普通のアナゴだった。ハマグリの汁は出汁が良くでていたが、いかんせん塩気がきつすぎ。

松島はやはり観光地で風情は無い。「五大堂」「瑞巌寺」をちらっとみただけで、午後2時に松島を出発。
五大堂 瑞巌寺

6号線を南下し、今夜のP泊地、福島県の「道の駅ならは」に向かう。ここにも温泉がついている。途中道の駅「相馬」で夕食用の食材を買い求め、「ならは」には午後5時40分到着。

ならは付属の温泉、「Jヴィレッジ湯遊ならは」は塩化物泉で無色透明。湯の温度は体感的には40~41度くらい。まあまあ30分程度なら入っていられる。もちろん出たり入ったりの繰り返しで連続は無理。昨日は熱すぎて大変だったが、今日は安心して入ることができた。湯上りの調子もまずまず。

5月7日

いよいよ今回のツアーも最終日となった。
二人とも熟睡して朝はゆっくり起床。さすがに少々疲れがでてきていたのだろう。 9時オープン道の駅の売店が開くのを待ちかねて、手作りジェラートのお店へ直行。ただし、注文したのはプレミアムソフトクリーム。材料のミルクが違うそうで、普通のソフトが¥250に対し¥350だった。確かに味はマイルドで濃厚。お値段だけの価値は十分あった。
その後、地元野菜の即売所へ行って、山菜(こしあぶら、たらのめ、葉たまねぎ)とトマトを購入。山菜は帰宅してから天ぷらにするつもり。

東京へ戻る途中、道の駅から5キロほどのところにある「天神岬スポーツ公園」に行ってみた。ここにはホテルと日帰り温泉「しおかぜ荘」がある。太平洋を見下ろす見晴らしは素晴らしいのだが、海風が厳しい。展望台に上ってみたが、吹き飛ばされそう。崖際に植えてある植栽も枝が全部陸側にしか生えていない!

今日が湯治の最後になるので、朝のうちに「しおかぜ荘」で温泉を楽しんだ。ここは湯の温度がリアルタイムで表記されていた。内風呂は2つ、露天が1つ。内風呂は41.6度となっていたが、片方の「蘇生の湯」はかなりぬるめ。私は是非蘇生したいと思っているので、こちらをメインに入る。湯の中には玉川温泉の石やらラジウムやら7種類の成分が入っているらしい。成分はともかく湯の温度が私にとっては適温だったので、30分ほど入浴することが出来た。湯治の最後の仕上げとしてはまずまず。

今回は、さすがに今までとは異なり、治療を兼ねてのツアーだったので、正直なところいささか疲れが溜まってきた。当初、明後日の日曜日までツアーを継続する予定だったが、週末のお天気も良くないようだし、家内も元気を装っているが、さすがに疲労は隠せない。思い切ってツアーを切り上げることにした。
今回の湯治の結果がどうなるか気になるが、病は気からとも言うので、良くなることを念じつつ旅を終わることにする。
長らくお付き合いいただきありがとうございました。

終わり



2010年4月28日〜5月7日

  

  

 

 

    

                    

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2010年 東北三大桜と湯治の旅